No.279 港南区版 令和3年 1月号 8-9面 特集 「ロコモ」「オーラルフレイル」ってなに? 健康寿命を延ばそう!  健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間のことです。市では男性約71歳、女性約74歳で、平均寿命との差は約10年あり、健康寿命を延ばすことができれば、健康的で活動的な生活を送れることになります。 問合せ 区役所高齢者支援担当(電話:045-847-8418 FAX:045-845-9809) 平均寿命と健康寿命のグラフ (H28健康横浜21報告書) 【男性】 平均寿命 81.37 歳 健康寿命 71.52 歳 (差 9.85年) 【女性】 平均寿命 87.04 歳 健康寿命 74.48 歳 (差 12.56年) ■要支援になった原因の半数はロコモ (ロコモティブシンドローム)  要支援※に認定された人の半分は骨折や転倒、関節の疾患など運動器の障害により、「立つ」、「座る」、「歩く」などの運動能力の低下が原因となっています。要介護状態になる危険性が高い状態をロコモといいます。 ※介護保険制度における支援を要する状況(段階) 【要支援になった理由】 骨折・転倒 20.5% 関節疾患 14.2% 高齢による衰弱 11.9% 脊髄損傷 3.8% 〈ロコモティブシンドローム〉 脊髄損傷 3.8% 心臓病  8.3% 脳血管疾患 7.6% がん 4.7% 呼吸器疾患 1.9% 認知症 0.8% ■健康寿命とロコモの関係 ロコモを予防するには? 【運動】 《歩き続けられる体づくりをしましょう》 ・ウォーキングや自宅でできるストレッチなど1日30分を目安に続けましょう。 【栄養】《骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防や筋肉を減らさない食事をしましょう》 ・1日3食、主菜(肉・魚・大豆製品等)と副菜(野菜)を取りましょう。 ・水分は十分に取りましょう。(心臓や腎臓等に疾患のある人は主治医と相談してください) 【健口(けんこう)】《口の働きを維持しましょう》 ・よくかんで食べる習慣をつけましょう。 ・歯磨きや口の体操(筋トレ)を続けましょう。 ・入れ歯の手入れや調整など、定期的に受診しましょう。 【社会参加】《地域の行事や趣味の会などに参加しましょう》 ・元気づくりステーションなどの介護予防活動グループに参加しましょう。 ・趣味の会や地域ボランティアに積極的に参加しましょう。 続けて効果実感! ストレッチ&ながら・ついでにトレーニング ■ストレッチ  左右、ゆっくり10〜15秒間ぐらい伸ばしましょう 〈体側〉 @右手を手のひらを内側にして上に伸ばす。 A左手で下から右の手首を持ち、斜めに引き上げる。 〈腰〉 @左手を右膝の外側につけ、右足を固定する。 A右手は背もたれにつける。 B後ろを振り返るように腰をひねる。 〈もも裏〉 @浅めに腰かけ、右足を前に伸ばす。 A膝を伸ばし、つま先を立てる。 B背すじを伸ばし体を前に倒す。 〈ふくらはぎ〉 @右足を引き、つま先を前に向け、かかとを床にしっかりつける。 A前の左膝を前に曲げていく。 ■日常できる ながらトレーニング 〈トイレの後に…スクワット〉 下肢筋力全体が鍛えられます @前で腕を組み、おしりを突き出す。 Aゆっーくり座る → 立ち上がる ×5回 繰り返す。 〈電子レンジの待ち時間に…片足立ち〉 バランス・筋力・骨が鍛えられます @腰に手を当て片足を上げる A一分程度キープする 【POINT】 難しい方は何かにつかまって行ってみましょう。 ■日常できる ついでにトレーニング 〈ウォーキングのついでに…フロントランジ〉 脚力強化・バランス強化・転倒予防 @足を揃えて立つ。 A片足を大きめに一歩前に踏み込む。 B足を元の位置に戻す。  左右交互10回 【POINT】 ・踏み込んだ足に体重を乗せるイメージで ・視線はできるだけ前に向ける 《注意!》ふらつく場合は何かにつかまりながら行いましょう。 〈台所に立ったついでに…アブダクション〉 股関節の強化・安定性の向上 @台に両手をついて立つ。 A体が傾かないように、外くるぶしを真横に持ち上げる。 B足を元の位置に戻す。  ゆっくり 右10回・左10回 【POINT】 ・30°くらいで十分。 ・つま先が上に向かないように 港南区で指導していて…  横浜市を中心に活動しています。港南区内では約15グループ延べ500人以上に体操指導を行っています。港南区の方々はとても熱心で、健康に対する意識の高い人が大変多いです。どこに行っても明るい雰囲気で運動指導も楽しくできます。今、コロナ禍でなかなか思い切った活動ができない人もいらっしゃると思いますが、感染対策に気をつけて、できることからやっていきましょう。積極的な身体活動は体だけでなく、心も元気にします。これからも港南区の皆さんが健康でいられるよう、私も頑張ります。 中村 幸貴(ゆきたか)さん (バリスティックトレーナーズ代表) オーラルフレイル(お口の機能低下)を予防しよう! 区役所 岡田歯科衛生士  オーラルフレイルは、むせる、かめない、渇くなど、ささいな症状から始まり、放置すると食べる力が弱まり、食事内容が偏り栄養不足となり、やがて全身の衰えにつながり、誤嚥(ごえん)性肺炎の原因にもなります。自分では気付きにくいので、チェックリストで確認してみましょう。おいしく食事して、充実した毎日を過ごし、元気で長生きするためにもお口の健康は大切です。  ぜひ「かながわ お口の健口体操」も行ってみてください。 【オーラルフレイルチェックリスト】 オーラルフレイルを簡単にチェックできる問診票です。3点以上の人は、専門的な対応が必要です。 質問項目 半年前と比べて、かたいものが食べにくくなった はい 2 いいえ 0 お茶や汁物でむせることがある はい 2 いいえ 0 義歯を使用している はい 2 いいえ 0 口の乾きが気になる はい 1 いいえ 0 半年前と比べて、外出の頻度が少なくなった はい 1 いいえ 0 さきいか・たくあんくらいの硬さの食べ物が噛める はい 0 いいえ 1 1日に2回以上は歯を磨く はい 0 いいえ 1 1年に1回以上は歯科医院を受診している はい 0 いいえ 1 合計の点数が 0〜2点 オーラルフレイルの危険性は低い 3点 オーラルフレイルの危険性あり 4点以上 オーラルフレイルの危険性が高い 作表:東京大学高齢社会総合研究機構 田中友規、飯島勝矢 引用:オーラルフレイルハンドブック(神奈川県作成) かながわ お口の健康体操 グー・パー・ぐるぐる・ごっくん・ベー @【グー】 ・目はしっかり閉じ目玉は下方に ・口は口角を上げしっかり閉じる A【パー】 ・目を大きく開き目玉は上方に ・口を大きく開く B【ぐるぐる】 口を閉じたまま舌に力を入れ、口唇の内側をなめるように回す(右回り、左回り) C【ごっくん】 ココでたまった唾をごっくん! D【ベー】 舌の先に力を入れ、しっかりと前に出す(そのまま10秒キープ) @〜Dを3回以上、毎日繰り返し続けることで 効果 1 脳の血流UPで頭スッキリ! 効果 2 唾液分泌UPでお口も潤う! 効果 3 舌の力でのみ込む力も向上! 効果 4 フェイスラインもスッキリ! 効果 5 オーラルフレイルも予防! 生活習慣病と認知症「予防できる認知症」 横浜市立大学附属市民総合医療センター 一般内科教授・部長 鈴木 ゆめ さん 動脈硬化に朗報  脳血管障害によって起こる血管性認知症は唯一予防できる認知症です。脳血管障害の多くは動脈硬化による脳血管の不具合で起こります。動脈硬化すると、血管はもろくなって破れたり、狭くなって詰まったりします。動脈硬化を防げば、脳血管障害にもならず、血管性認知症にはなりません。ではどうしたら動脈硬化を防げるのでしょうか。年を取るだけで動脈硬化は進みますが、加齢を止めるわけにいきません。しかし、動脈硬化にはそれを早めるリスクファクター、危険因子があります。危険因子を避ければ動脈硬化にブレーキを掛けられます。 危険因子?  危険因子は高血圧や糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満といった生活習慣病や喫煙です。日本高血圧学会のガイドラインでは上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上、あるいはこの両方、および家庭血圧135/85mmHg以上を高血圧としています。高血圧対策には減塩が重要です。ガイドラインでは食塩摂取量として一日6g未満が提唱されています。小さじすりきり1杯です。豚骨ラーメンやカップラーメン、カップうどんはスープまで飲んでしまうと5〜6gの食塩摂取になり、一日分がこれで終わります。スープは全部飲まない。たくあん1切れ0.5g、梅ぼしは1g。まだまだ改善の余地はありそうです。肥満は糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肝障害など多くの病気の原因となります。その程度は体重を身長の2乗で割って算出する「体格指数」で判断し、正常範囲は18.525.0(kg/m2)です。腹八分目と言いますが、食べすぎは禁物です。餌を7割しかもらえなかったおサルさんは、食べたいだけ食べたおサルさんよりずっと若々しく病気も少ないというデータが出ています。運動は毎日30分以上または週180分以上、ややきつい程度の速歩やスロージョギングのような有酸素運動、持久運動が推奨されています。生活習慣を変えても改善しない場合はお薬を飲みましょう。