🔶自己紹介 メキシコ合衆国から来ました。横浜国立大学大学院国際社会学研究科の博士課程1年生のアナ・ソリスと申します。専攻は国際法と国際政策です。食の安全や環境・健康・衛生面の問題について学び、こういった問題が国際貿易法、特に、世界貿易機関法と国単位でどのような関係性を持っているのか研究しています。横浜市はアクティブで、ダイナミックでいながらも、少し歩けば静かで落ち着いた場所もある、素敵な都市だと感じます。特に、みなとみらいエリア、山下公園、横浜港、関内、中華街を散策するのが大好きです。 🔶メキシコ合衆国とメキシコシティの紹介 メキシコ合衆国の総人口は約1億2,900万人、総面積は1,972,550㎢です。首都はメキシコシティです。同国最大の都市であり、北アメリカで最も人口の多い街です。メキシコシティは文化的にも経済的にも、世界の中心地の一つで、都市の人口は約900万人、面積は1,485㎢です。 広大なメキシコの気候は温帯から熱帯までさまざまです。気候、景色、風土、食べ物が地域によってまったく違うので、いろいろな国を旅行しているような気分になるでしょう!メキシコ北部の冬季の気候は厳しく雪も降ります!一方で、メキシコ南部は一年中気温が非常に安定しています。メキシコの気候は世界で最も多様性に富んでいるといえます。メキシコで育つ生物の多様性と生態系の豊かさを想像してみてください! メキシコシティはアメリカ大陸で最も古い首都で、元は1325年にテキココ湖の島上に先住民だったアステカ族が設立したものです。当時は「岩とサボテンの場所」を意味するテノチティトランと呼ばれていましたが、この意味は定かではありません。 テノチティトランは1521年にほぼ完全に破壊され、その後スペインの都市基準に従って再設計、再構築されました。1524年にメキシコテノチティトランとして知られるメキシコシティの自治体が設立されました。1585年時点の正式名称はシウダー・デ・メヒコ(スペイン語でメキシコシティの意)。メキシコシティは、スペイン帝国植民地の政治、行政、金融の中心でした。 スペインからの独立後、連邦区(現在のメキシコシティ)が1824年に設置されました。 🔶メキシコの伝統文化の紹介 豊かでカラフルな活気に満ちたメキシコの文化は、アステカ文明やマヤ文明などの古代文明とヨーロッパによる植民地化の影響を受けています。そのユニークな文化は世界で最も魅力的な文化の一つと言えるでしょう。 メキシコ人の伝統と習慣を一概に語ることはできません。メキシコ人は伝統を誇りに思っており、各地域には祖先が守り継いできた伝統が数多く残っています。探検してみたい人には魅力的なロケーションです。メキシコの先住民グループ(ナワ族、オトミ族、マヤ族、サポテコ族、ツェルタル族、ツォツィル族等)は、料理、医学、儀式、言語の面で、メキシコ文化に大きな影響を与えました。 音楽とダンスはメキシコ文化の大きな特徴です。特に有名で人気があるのは、19世紀に始まったマリアッチ音楽。伝統的なマリアッチバンドは「チャロ」というスーツを身につけた5人のミュージシャンで構成されています。フォークダンスもメキシコ中で踊られています。メキシコを象徴するダンス、ハラベ・タパティオ(メキシカン・ハット・ダンス)は国の民族舞踊と言えます。ソンブレロを身にまとった男性が威勢よく踊り、愛を求めるダンスです。 人口の62%を占めるのが、「メスティーソ」と呼ばれるラテンアメリカの先住民とスペイン人の混血の人々です。その他の割合は、ラテンアメリカの先住民またはその血が強い人は21%、白人が10%、アフリカにルーツがある人は7%になります。メキシコ固有の文化は、これらの層の影響を強く受けています。 ◎メキシコの言語 メキシコで圧倒的に話されているのはスペイン語です。人口の92.7パーセントがスペイン語を使っています。人口の約6パーセントはスペイン語だけでなく、マヤ語やナワトル語などの先住民族の言語を話します。メキシコには60以上の異なる先住民の言語があります。先住民の言葉は英語など他の言語との共通点が多いです。たとえば、チョコレート、コヨーテ、トマト、アボカドはすべてナワトル語が起源です。 ◎メキシコの宗教 メキシコの文化は、宗教的な価値観や教会、家族愛と「排除をしない」という考え方を中心に成り立っているものが多いです。約82%のメキシコ人が、スペイン征服前のマヤ文明を信仰しているものの、自分はカトリックであると自認しています。キリスト教の宗派には、長老派、エホバの証人、セブンスデー・アドベンチスト、モルモン、ルター派、メソジスト、バプテスト、英国国教会が含まれます。少数ですが、イスラム教徒、ユダヤ人、仏教徒の小さなコミュニティもあります。 ◎メキシコ人の価値観 「家族」はメキシコ社会を構成する重要な要素の一つです。都市を離れると大家族の割合が増え、直系の家族のように、いとこや親しい友人も大切に思うべきであるという考え方がメキシコでは一般的です。メキシコで生活する上で何よりも大切なのが自宅でのパーティーです。参加者に快適に過ごしてもらうことがメキシコ人にとって非常に重要なのです。 ほとんどの家庭が大家族で、皆が伝統的なジェンダーの役割を担っています。家族以外のメンバーも加わりお互いを助け合います。家族間の絆は強く、みな両親を尊敬しています(普通のことだと思いますが)。特に育ち盛りの子どもは、自分の思い通りにいかないことが多いので、兄弟間のケンカが絶えません。 メキシコの家族の大きなイベントに「キンセアネーラ」があります。これは15歳になる女の子の誕生日のお祝いで、子どもから大人の女性への旅立ちを意味します。 パーティーではご馳走がふるまわれ、友人や家族がダンスを踊り、主役の女の子は綺麗なドレスを着ます。パーティーの前に、女の子が所属する教会でミサが開かれます。 ◎メキシコのアート 陶器、刺繍が入ったコットンの洋服、ウールのショール、角張ったデザインの上着、カラフルなバスケットやラグが民芸品として一般的です。銀細工、モザイク、テキスタイル、陶器、バスケットの織物には数千年の伝統があります。 メキシコの音楽は多種多様ですが、民族音楽のマリアッチと密接な関連があります。マリアッチは19世紀のハリスコ州南部で誕生し、バイオリン、ギター、ベース、ビフォエラ(5弦のギター)とトランペットのグループで演奏されます。シルバーのスタッズがついたチャロスーツと帽子を着用します。 また、「ソン・ハローチョ」と呼ばれる、躍動感あふれる美しい音楽もあります。先住民(主にワステカ)、スペイン、 アフリカの音楽的要素が融合したこのスタイルは、スペイン植民地時代からベラクルス州、オアハカ州、プエブラ州の地域開発を進めた人々がモチーフです。歌詞には、愛、自然、 船乗り、家畜の飼育といったユーモラスな詩や題材もあり、植民地時代や19世紀の生活が描かれています。詩は、メキシコやヒスパニックカリビアンのレパートリーと同じ物が多く、スペイン「黄金世紀」の有名な作品から拝借しているものもあります。ハラナ(小型ギター)を使用するソン・ハローチョは、数人の歌手が即興で歌い合うデシマというスタイルで披露され、ユーモラスな内容が多いです。 フリーダ・カーロとディエゴ・リベラはメキシコの画家の巨匠です。カーロたちの絵画には、メキシコの生活が鮮やかな色で描写されています。リベラはメキシコ壁画運動の先駆者で、大きな壁画を使って民衆を教育しようと考えました。 ◎メキシコの服飾文化 メキシコをハイファッションの国と考える人は多くありませんが、ルイ・ヴィトンのようなブランドにはメキシコ出身のファッションデザイナーもいます。メキシコでもファッションウィークが開かれます。都市部では、国際的なトレンドの影響を強く受け、ヨーロッパやアメリカと同じようなファッションが流行っています。 メキシコの女性用の伝統衣装にウィピルというものがあり、ノースリーブのチュニックのような服です。ウィピルはもともと非常にシンプルなデザインにカラフルな色が施されます。ただし今では、伝統的なメキシコの婦人服といえば、象徴的な意味を持つ絵や模様の刺繍のものが一般的です。 男性の民族衣装は、セラーペと呼ばれる大きな毛布のケープです。ブーツもワードローブの定番です。メキシコのカウボーイが着ているチャロスーツは、マリアッチミュージシャンと深い関係があります。チャロスーツは正式なイベントでタキシードの代わりとしても着用できます。チャロスーツとセットの、つば広の帽子であるソンブレロは日よけにもなります。メキシコには各地域に伝統的な衣服があります。 ◎休日とお祝い 12月12日のグアダルーペ聖母祭は、スペイン統治時代の初期に聖母マリアがインディオの前に出現したことをお祝いする、メキシコ最大の宗教行事です。マリアはメキシコの守護聖人です。聖母祭のあとにはポサーダスと呼ばれる9日間のお祭りが続き、人々はマリアとジョセフがイエスを産むためのベツレヘムへの旅を再現します。シェルターを求めて家主が開けてくれるまで、ろうそくを持って歌いながら各家を歩きまわります。ドアを開けてくれた時点でパーティーの始まりです。 11月1日と2日は、死者の日(ディア・デ・ムエルトス)です。亡くなった人たちを思い出し、敬意を表す日です。四旬節(クアレスマ)に入る前に、メキシコ全土の多くのコミュニティでカーニバルが祝われます。メキシコ人はカトリックの習慣で40日間節制した生活を送ります。 9月16日は、1810年のスペインからの独立を記念する独立記念日です。 🔶メキシコの伝統料理の紹介 メキシコ料理の歴史は、約9千年前にさかのぼります。南部のマヤ族をはじめとする農業コミュニティがトウモロコシの栽培を始め、トウモロコシをアルカリ水で処理する方法を標準化し、独自の食文化が築かれました。メキシコ料理は気候や地形、先住民族の違いによって地域で異なります。たとえば、メキシコ北部は肉料理(特に牛肉)や小麦粉のトルティーヤで有名です。南部のオアハカ地域の名物は、タマルやトルティーヤ、モーレと呼ばれるメインソースで、メキシコの主な代表的な料理に合うソースです。 ユカタン半島はトロピカルフルーツ料理が充実しています。西の山岳地帯を代表する料理は、ビリアと呼ばれるピリ辛トマトベースの肉料理(山羊/牛/羊肉/豚肉)です。太平洋岸とバハカリフォルニア半島のグルメは、シーフード料理が中心です。メキシコ料理は実に奥が深いので、テクス・メクス料理(メキシコ風のアメリカ料理)とは全く違うものです!メキシコ料理の三大主食といえばトウモロコシ、豆、唐辛子で、スペイン人が上陸する前から生産されていた食べ物です。トウモロコシはあらゆる料理に使われますが、一番ポピュラーなのはパンケーキのような薄く丸型のトルティーヤです。タコスやケサディーヤに欠かせないトルティーヤは国民食といえますが、中でもメキシコシティで人気が高いです。 アボカド、トマト、米もメキシコ料理で多く使われます。メキシコはテキーラも有名です。中央メキシコの気候でよく育つリュウゼツランのサボテンから作られています 一般的に牛乳の消費量が多いです。また、甘いものよりも塩辛い食べ物が好まれます。毎日平均6枚のトルティーヤを食べ、家庭では伝統料理が食されます。(スープ、米、シチュー、サルサと豆は欠かせません) 国の統計研究所が食生活に関する興味深いデータを出しています。メキシコ人の94%が毎日昼食を食べ、78%が毎日朝食をとり、夕食を食べるのは64%に留まります。人口の87%が週に1度以上鶏肉を食べます。赤身の肉は79%、卵は77%、乳製品は66%、魚は43%です。 昼食については、午後1時より前に食事をとる人はわずか4%です。21%が午後1時から午後2時に食事をし、74%は午後2時から3時の間、または午後3時以降に食事をします。国の中心部では、人口の47%が午後3時以降に昼食をとっています。 メキシコ人は時間をかけてランチを楽しむと思われがちですが、統計によると、ランチに1時間以上かける人の割合は5%にすぎません。57%の人が30分から60分でランチを済ませ、30分以内に食べ終わる人は37%です。 39%の人は午後8時から9時の間に夕食を食べます。午後9時以降に食べる人は37%、午後8時までに済ませる人は22%です。メキシコシティでは、約40%が午後8時から9時の間に夕食を食べています。 人口の77%が毎日トルティーヤを食べます。58%がサルサ、46%が豆を食べます。リンゴはメキシコ人のお気に入りの果物で、2番目はパパイヤです。レタスは全国的に最も頻繁に消費されている野菜で(18%)、ブロッコリー(17%)とニンジン(17%)が続きます。中心部でもっとも頻繁に消費される野菜はブロッコリーです(18%)。 人口の43%が間食の習慣があると答えています。果物を食べる人が最も多く(45%)、その次にジャンクフードを食べる人が多いです(16%)。 メキシコの水事情は以下の通りです。ガラフォン(精製水の大きな容器)72%、水道水(そのまま飲むと危ないですよ!)10%、ペットボトル(高くつきます)8%、蛇口にフィルターを付ける5%、沸かしてから飲む(フィルターは買えないけれど、時間をかける余裕がある場合)5%。 デザートは、21%の人はプリンに似たスイーツを食べ、次にゼラチン菓子(12%)、ケーキ(11%)、フルーツ(9%)とアイスクリーム(9%)と続きます。 メキシコに行く機会があれば、代表料理のタマル、モーレとポソレがおすすめです! ぜひ試してくださいね! 🔶保土ケ谷区についての感想 県立保土ケ谷公園と陣ケ下渓谷公園が保土ケ谷区で一番好きな場所です。天王町駅前で地元の人から果物を買うのが私の楽しみです。 去年の夏祭りで、お盆を楽しむ日本の家族や友人たちの様子がとても感動的でした。音楽、盆踊り、太鼓の演奏、おみこしが素晴らしかったので、もう一度経験してみたいです! また、地元の文化イベントに参加して、保土ケ谷区を通じて日本人の精神についてもっと知りたいです。また、何かできることがあればどのような形でもいいので、ボランティア活動ができればいいと思っています。特に、地元の農産物と食べ物にどのようなつながりがあるのか興味があります。得意なスペイン語・フランス語・英語のレッスンや翻訳もやってみたいです。